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急性虫垂炎(盲腸)

急性虫垂炎(盲腸)とは

急性虫垂炎は、腸の入り口である盲腸から垂れ下がっている虫垂という部分の炎症によって起こります。以前は「盲腸」と呼ばれることが多かったですが、正しくは虫垂の炎症のため「急性虫垂炎」と呼ばれることの方が一般的になってきています。男女関係なく子供から高齢者まで幅広い年齢で発症しますが、10〜20代での発症がやや多い病気です。
右下腹部に激しい腹痛の症状が出るのが特徴で、外科的な処置をする場合も少なくありません。処置が遅れると命に関わる場合もあります

炎症の度合いによって重症度が分けられ、炎症が粘膜のみにとどまっている軽症の「カタル性虫垂炎」、虫垂の壁全体が炎症している中等症「蜂窩織炎性(ほうかしきえんせい)虫垂炎」、壁が壊死している重症の「壊疽性(えそせい)虫垂炎」に分類されています。

原因

急性虫垂炎のはっきりとした理由は分かっておらず、いくつかの原因が重なって発症する場合もあります。

  1. 閉塞による細菌・ウイルス感染
  2. これが最も多い原因です。虫垂のねじれ、糞石や植物の種・金属などの異物、まれに寄生虫などにより虫垂が閉塞します。その結果、細菌やウイルスによって化膿性の炎症が起こります。

  3. 暴飲暴食・寝不足・過労・運動不足
  4. これらの生活習慣の乱れも急性虫垂炎の原因になるとされています。

  5. 便秘
  6. 便が溜まって虫垂を圧迫することで炎症が起こる場合もあります。

  7. ストレス
  8. ストレスによって体内に好中球が増えると、好中球の出す活性酸素が増えます。この活性酸素は体の組織を痛めてしまうので発症リスクが高まります。

症状

初期症状は胃痛やおへそ周辺の上腹部の痛みです。その後1日ほどで痛みの部位が右下腹部へ移り、その後腹部全体へ広がっていきます。他にも発熱、吐き気・嘔吐、食欲不振、下痢などの症状が現れます。
また、右下腹部を押すと痛みがあり、さらにその部位を押して急に離した時に痛みが強まる「反跳痛(はんちょうつう)」や歩いた時に痛みに響くなどの特徴的な症状があります。

人によって現れる症状やその重さも異なるため判断が難しい病気でもあります。特に子どもや高齢者、妊婦では症状の訴えが分かりづらかったり、痛みや症状があまり酷くない場合があります。症状は軽くても病状自体は悪化する上に、急性虫垂炎は炎症が比較的早く進む病気です。発見が遅れて気付いた時には重症になっていた、という可能性もあるので注意が必要です。

治療しないまま症状が進んで虫垂が破裂すると、溜まった膿が腹部に広がって「腹膜炎」や「敗血症」などの命に関わる病気になる可能性もあります。

急性虫垂炎かも?と思ったら

急性虫垂炎の場合、放っておいても自然に良くなることはありません。 上記のような症状があり、痛みが右下腹部へ移動するようであればできるだけ早く病院を受診する必要があります。発症してから36時間以内に炎症を起こした虫垂が破裂に至る可能性があるため、夜であれば夜間救急を利用したり、救急車を呼ぶことも視野に入れましょう。

検査

  • 医師による問診、触診
  • 血液検査
  • 腹部CT検査
  • 腹部超音波検査

治療

急性虫垂炎の治療は早ければ早いほど良く、治療の負担も減ります。かつては虫垂は切除しても大きな影響がないと考えられていましたが、最近では免疫や腸内環境などに関わっていることが分かってきました。そのため軽症であれば切除せず、薬による治療のみの場合もありますが、1〜3割の人は再発するため最終的に切除という選択をする場合もあります。

  • 薬物療法
  • 軽症〜中等症の場合は抗生物質により炎症を抑え、経過観察する場合があります。ですが、その後約1〜3割の人が症状が再発すると言われています。点滴により炎症を抑えてから虫垂の切除を行う場合もあります。

  • 腹腔鏡下
  • 軽症〜中等症で行うことが多い手術で、お腹に小さい穴を開けて腹腔内にカメラを入れて手術を行います。開腹手術よりも患者様への負担が少なく傷も残りにくいのが特徴です。腹腔鏡下手術は炎症が重度な場合は行えない場合もあります。

  • 開腹手術
  • 中等症〜重度で行うことが多い手術で、症状が重度であったり既に虫垂が破裂している場合などに行われます。溜まった膿が腹腔内に広がると腹膜炎、膿の中の細菌が血流に感染すると敗血症を引き起こす可能性があるので生理食塩水で洗い流す必要があります。この場合は入院期間が長くなります。

予防法

  • 暴飲暴食を避ける、脂っぽい食事を避ける
  • 過労や寝不足にならないようにする
  • 魚の骨や果物の種などは除いて食べる
  • 便秘にならないようにする
  • ストレスを溜めないようにする

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